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政策と提案
2021/3/23 更新
奈良市議会3月定例会 討論(2021年3月23日)
2021年3月23日
 
日本共産党奈良市会議員団
北村


奈良市議会3月定例会 討論(2021年3月23日)
 

日本共産党の北村たくやです。私は日本共産党奈良市会議員団を代表して討論を行います。

ただいま議題となっている案件のうち、

●議案第17号 令和3年度奈良市一般会計予算
●議案第19号 令和3年度奈良市国民健康保険特別会計予算
●議案第21号 令和3年度奈良市介護保険特別会計予算
●議案第33号 奈良市国民健康保険条例の一部改正について
●議案第34号 奈良市介護保険条例の一部改正について
●議案第36号 奈良市勤労者総合福祉センター条例の一部改正について
●議案第38号 奈良市立学校設置条例の一部改正について

の7つの案件に反対します。また、

●議案第4号 令和2年度奈良市一般会計補正予算(第9号)
●議案第8号 奈良市長の退職手当の特例に関する条例の制定について
●議案第29号 奈良市手数料条例の一部改正について

の3つの案件については意見を付して賛成します。残余の案件には賛成します。

 以下、理由を述べます。

まず、議案第4号および議案第17号についてです。
 令和2年度一般会計補正予算、令和3年度一般会計当初予算では、新型コロナウイルス感染症対応事業が予算化されており、先のわが党の予算組み替え動議の趣旨説明のなかでも述べたとおり、市民の切実な願いが反映した内容もある一方、全体として、世代を問わず生活に困窮する方の手元に直接届く支援策が決定的に不足しており、コロナ禍で貧困が連鎖しているもとで本当に困った人へのやさしさや「福祉のこころ」が欠如していると指摘せざるを得ません。市長3期目マニフェスト「政策NARA2021」関連事業をみても、「本格的な高齢化に向け、公共交通の再整備や買い物難民対策に取り組みます」の政策に掲げる「買い物弱者モデル事業経費」は、この4年間1円も予算計上されていません。
 仲川市長就任後の12年間で正規職員は505人削減されていますが、新型コロナ危機に直面し、市民の命と暮らしを守るために行政の公的責務を果たす重要性が浮き彫りになるなか、新年度予算でも正規職員を12人削減するとしていることは極めて重大です。保健師の現状も、国の統計で保健師と助産師をまとめた数の比較において、人口10万人あたり本市は中核市60市中43位、中核市平均21.2人に対し18.0人と下回っています。
 会計年度任用職員も令和2年4月1日時点で、パートタイム職員は1,588人にのぼり、「官製ワーキングプア」を生み出している深刻な実態があります。
 また、幼保再編の民間移管や民間委託の拡大にはコロナ禍であっても何ら躊躇がなく、株式会社を運営主体とする保育園の選定など、これまで奈良市が堅持してきた歯止めを飛び越えるなど看過できません。
 行政のデジタル化等の推進が主要施策に掲げられています。そもそも政府がこの施策で第一にあげているのは「マイナンバーカードの普及促進」です。マイナンバーカードがないと公的サービスを含めた様々なサービスが受けられない状況をつくりだし、実質的にカード取得を強要しようとするものです。もともと財界の要求であったマイナンバー制度の導入の狙いは社会保障を抑制することにあり、あらゆる情報をマイナンバーカードによって集積しようとしています。利活用は拡大される一方、個人情報保護のルール強化は極めて不十分です。個人情報は「個人の人格尊重の理念のもとに慎重に取り扱われるべき」であり、プライバシー権は憲法が保障する基本的人権です。情報の自己コントロール権を保障する仕組みにしていくことこそ求められます。

 次に、議案第19号および議案第33号について、反対の理由を述べます。
議案第33号は、奈良県の国保事業の中間見直しに基づく条例の改定が含まれており、その内容は、これまで奈良市の裁量で行ってきた保険料の減免について、今後は奈良県が示す範囲内に制限しようとするものです。
国保料の減免については、国保法第77条において、市町村にその裁量が認められており、各市町村の実情に応じて運用されてきました。そこに県が制限を加えることは、地方自治の観点からも認めることはできません。
また県はすべての市町村の合意を得たと述べていますが、中間見直しについて各市町村代表による何らかの議決が行われたわけではありません。さらに県の中間見直しは、収納率を数値目標で示し、差し押さえなどを積極的に活用するよう求める一方、給付抑制につながる「健康づくり」などの観点は一切述べられていないことも問題です。
 県域国保がスタートし、奈良市でも段階的に保険料が引き上げられており、本年度も1.4%の引き上げが計画されています。ただでさえ高すぎる保険料で「払いたくても払えない」市民が多いなか、保険料値上げや減免要件の制限は、高額な保険料にあえぐ市民をいっそう追い詰めるものであり、認めることはできません。高すぎる保険料の改善には、国庫負担の抜本的引き上げこそ必要です。
また今般、未就学児の均等割について一部減免する方針が国から示されました。均等割は、世帯の人数が増えれば増えただけ負担増となるうえ、生まれたばかりの赤ちゃんにまで「後期高齢者支援分」を賦課するものとなっているなど、少子化対策にも逆行します。今回、減免に向けて動き出した点は一定評価できるものの、それにとどまらず、さらなる拡充が必要であり、国庫負担の増額とあわせ、奈良市として国や県に対して求めるよう要望します。
 以上のことから、第33号および関連予算である議案第19号には反対します。
 次に、議案第21号および議案第34号について、反対の理由を述べます。
議案第34号は、第8期介護保険計画の策定に従い、保険料の引き上げを行おうとするものです。
今回の料金改定にあたり、基金から12億5千万円の繰り入れを計画されていることについては、わが党としてこれまで求めてきたところであり評価するものです。しかし実態として値上げとなっている点については見過ごすことはできません。
介護保険料は制度発足後、値上げがくり返され、第7期計画では当初の料金の2倍を超えました。介護保険料でも滞納が発生するなど、保険料負担は市民に重くのしかかっています。高齢化の進展とともに給付が増えるのは当然のことといえますが、それをそのまま保険料に転嫁していけば市民の負担はますます増加し、いっそう追い詰めることになります。市民の負担増となる議案には賛成できません。よって、議案第34号および関連予算である議案第21号には反対します。

次に、議案第36号についてです。
 これは、奈良市勤労者総合福祉センターについて、利用者の利便性の向上を図るとして「利用料金制」を導入し、「利用時間」と「利用料金」を改定しようとする条例改正案で、令和3年4月1日施行としています。
 「使用料制」から「利用料金制」に変更することで、指定管理者が自ら料金設定できるようになります。条例改正案では料金の上限額が明記されますが、その範囲内で指定管理者は料金設定することが可能となります。
 「利用料金制」の導入や、利用時間や利用料金を変更することについて、施設利用者や利用団体から意見聴取を徹底して行ったとはいえず、今回の条例改正案でその内容をはじめて知った利用者から、新しい時間区分設定では、利用時間が現在の利用区分と同じ時間の場合、「2区分」申し込まねばならず、割高になると懸念する声が出されています。利用者の理解が得られていない事実があるなかで強行すべきではありません。

 次に、議案第38号についてです。
 これは、奈良市立一条高等学校を併設型中高一貫教育校とするため、附属中学校の設置に関する所要の改正を行おうとするもので、令和4年4月1日から施行としています。このことに関しては、先のわが党の予算組み替え動議の趣旨説明のなかで述べたとおり、県下で高校の敷地内に附属中学校を併設し中学生・高校生が混在する公立学校は他に例がなく未検証であり、様々に懸念される問題も存在するなか、前のめりにすすめるのではなく、「小中一貫教育」をはじめ、これまでの市の「教育改革」「教育施策」の検証・総括が必要です。

 つづいて、以下の案件について意見をのべます。

 まず、議案第8号についてです。
2016年9月定例会で特別職の「退職手当をゼロ」にする条例案が出された際、特別職には重い責任があり、当時中核市47市で特別職全員が退職手当ゼロというところは一つもなく、行革の姿勢を示すというのなら、ゼロではなく減額でも市民の理解は得られるはずとの理由から、わが党は反対しました。
とりわけ今回、新斎苑の土地取得をめぐる裁判の結果によっては損害賠償請求を受ける可能性もあり、こうしたリスクへの対応という意味でも「退職手当ゼロ」は見直すべきと考えます。
しかし市長自身の公約でもあり、反対するものではありませんが、特別職報酬審議会の意見を聞くなど、慎重な議論を尽くすことを求めるものです。

 次に、議案第29号についてです。 
これは「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」、いわゆる「建物省エネ法」の改正に伴い、規模・用途ごとの特性に応じて、建築物適合義務の対象を拡大するものです。対象がこれまで、非住宅について床面積2,000u以上だったのが、改正により300u以上に拡大されました。このことにより、法改正による建築物消費性能適合性判定手数料の改定を行うものです。
地球温暖化対策に資する改正でありますが、2015年1月の社会資本整備審議会の答申では、2020年までに規模を問わず、また住宅か非住宅かを問わず、適合を義務化する工程表が示されており、こうした目標とは乖離しています。非住宅だけが義務化の対象となっており、1棟何百戸も入っているようなタワーマンションでさえ適合を義務化しない内容です。今後義務化の対象を拡充し、さらに実効性ある温暖化対策になるよう国に働きかけていくことを要望します。

 以上で討論を終わります。