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政策と提案
2020/11/24 更新
新型コロナウイルス感染拡大の対策に関する申し入れ(第6次)

11月24日、奈良市へコロナ禍第三波における対策や要望として「第6次 申し入れ」と、来年度予算における「暮らしの予算要望」を仲川市長に提出し、懇談しました。

    

2020年11月24日
 
日本共産党奈良市会議員団

新型コロナウイルスの感染者が全国各地で急増し、新規陽性者数が2,000人を超える日が連続するなど、春の「第1波」、7〜8月の「第2波」に続く、「第3波」の感染拡大が起こっています。奈良県は直近1週間の人口10万人当たりの感染者数が9.92人で全国8位(11/19現在)と報じられ、大阪や兵庫など近畿各県でも1日の新規感染者数が過去最多を更新、奈良市でも過去最多になった日があるなど、その数は拡大傾向にあります。
 国とともに自治体が責任を果たし、何としても感染の急激な拡大を抑え、市民の命を守り抜くことが必要です。
 新型コロナ感染の影響が長期化するなかで、くらしと経済の危機も進行しています。
 小口倒産が急増し、過去の借金が返せない個人事業主の自己破産も増加しています。コロナ禍のもとで、小さいところからつぶれていく状況はきわめて深刻です。
 また雇用者の数は、リーマン・ショック時を上回る勢いで、非正規雇用を中心に100万人以上が減っており、なかでも女性の減少が目立ちます。これから年末に向けてリストラが急加速する危険性があり、事態はきわめて深刻であり、こうした事業と雇用の危機を「コロナ恐慌」に決してしないために、必要なあらゆる手立てをとることが求められます。 日本共産党奈良市会議員団として新型コロナウイルス対策に関し、以下の申し入れ(第6次)を行うものです。

新型コロナの感染再拡大を抑止するため、以下の点について国に求めるとともに、市独自にとりくむこと
新型コロナの特徴は、無症状の感染者をつうじて感染が広がっていくことにあります。発熱などの症状が出ている人と濃厚接触者を主な検査対象とする従来のやり方では、無症状者を見逃し、沈静化と再燃の波が繰り返されることは避けられません。感染拡大を抑止し、コントロールするためには、無症状の感染者を把握・保護することも含めた積極的検査を行うという戦略的転換が必要です。
◎感染急増地(ホットスポット)となるリスクのあるところに対して無症状の感染者を把握・保護するための「大規模・地域集中的なPCR検査」を大方針にすえ、強力に推進すること。

◎医療機関、介護・福祉施設、保育園・幼稚園・こども園、学校、学童クラブなど、クラスターが発生すれば多大な影響が出る施設等に、定期的な「社会的検査」を行い、感染拡大を事前に防ぐこと。

◎現状の大きな問題点は、国が自治体に対し“現場任せ”にしていることである。行政検 査を増やすと自治体独自の持ち出しになるという検査の地方負担問題を、“全額国庫負担による検査”の仕組みをつくることなどで解消するよう、国に求めること。

感染症対策の最前線にたつ保健所をはじめ、職員の体制を抜本的に強化すること
保健所は平時の業務に加え、新型コロナ対応として、帰国者接触者外来への受診調整、PCR検査の受け付け、県との情報共有や広報、陽性者や濃厚接触者への聞き取り、医療機関との連絡調整、入院患者の病状把握など法に基づく感染症対策業務に忙殺されています。

◎保健所の人員のなかでも、感染症対策の最前線に立つ「保健・環境検査課」「保健予防課」の正規職員がこの数年間、減らされてきたことがコロナ対応を困難にしており、増員すること。

◎現在の急激な感染拡大に対応し、陽性者を着実に把握・保護していくためには、感染追跡を専門に行うトレーサーが不可欠である。「検査・保護・追跡」を一体に推進してこそ、感染拡大を抑止できる。国の責任で緊急にトレーサーの養成・確保を図るよう、国に強く求めること。

◎新型コロナの収束には長期化が見込まれること、新たな感染症の発生間隔が短期化しつつあることなどから、公共・公務部門の感染症への日常の備えがますます重要になっています。職員削減計画を見直し、必要な人員を確保すること。

 

■「療崩壊」を絶対に起こさないために、実効性ある措置を講じること
国は「医療機関の支援のため、3兆円の予算を投入した(緊急包括支援交付金)」というが、実際に医療現場に届いた額は10月末時点で計5,200億円と、計上された予算の2割に満たない。政府が決めた支援をすぐに現◎「減収補てんはしない」という姿勢をあらため、地域医療を支えるすべての病院・診療所に減収補てんを行い、医療体制を全力で守るために、国に強く働きかけ実現すること。介護福祉施設への財政支援も国・県と連携して踏み出すこと。

◎感染防護具や医療用器材を市としてもさらに積極的に届けること。国にも求めること。

◎必要な宿泊療養施設を確保するために市として積極的にとりくむこと。国に対して、そのための予算の緊急的な追加を行うよう求めること。

国民健康保険証について
奈良市は従来、国保料滞納者に対して納付相談の機会を確保するとして、3か月短期証を発行していたが、コロナ禍の対策として来庁機会を減らすため、今年は6カ月短期証に改善するとしている(8月〜)。国民健康保険証の短期証や資格証を今後廃止すること。短期証を継続する場合でも、保険資格のある市民には年間を通じて途切れることなく有効な保険証を発行すること。

教育、雇用と事業の維持など、その他の課題について

  • 小中高等学校の全学年で20人程度の少人数学級を早期に実現することを国に求めること。
  • 子どもや保護者、教職員の心のケアに万全をつくすこと。
  • 学校施設の消毒作業などにあたる人員をさらに拡充するとともに、検温や消毒作業など負担が増えている保育園・幼稚園・認定こども園・学童保育についても、人員の増員を行うこと。感染防止のための必要な資材を確保し、引き続き現場に供給すること。
  • 大学等の授業料について、国の責任で一律半額免除するよう働きかけること。
  • 高齢者へのインフルエンザ予防接種の公費助成を行うこと。他の市民にも拡大すること。
  • 消費税5%への減税に踏み切るよう国に求めること。経営が困難な中小業者への納税免除(2019年度・20年度分)を国に求めること。
  • 新型コロナへの対応として「新たな生活様式」を国・自治体が市民に求める以上、その生活様式を不安なく選択できるよう「補償策」を一体に打ち出すこと。
  • 雇用調整助成金、持続化給付金、休業支援金、家賃支援給付金などの直接支援を継続・拡充するよう国に強く求めること。地域や業種別の実情などもふまえた支援ができるように、「地域事業継続給付金」制度を創設し、国がそのための「交付金」を地方に支給するよう求めること。
  • ひとり親世帯、低所得世帯の生活困窮が深刻であり、実態調査や緊急の支援策、中長期の返済可能な貸付制度(無利子・無保証人)を設けること。
  • 市独自の支援策を、来年度予算編成において検討し予算化を図ること。
  • 「Go To」事業は、政府の責任で全国一律をやめ、感染状況に応じ地域ごとの事業にして国が応援する、中小・小規模事業者にも支援が届くよう制度改善を国に求めること。
  • 「文化補助金」を受けやすいよう改善し、国が「文化芸術復興基金」を創設するよう強く働きかけること。
  • コロナに関する正確な情報や相談窓口の案内、各種の救済制度について、ネット配信だけでなく紙媒体での案内・啓発をいっそうきめ細かに行うこと。
  • コロナ対策に関する市としての公式発表や連絡は、所定のルートを通じて一元化して行うよう再度徹底すること。
  • 感染拡大に伴って、感染とそれ以外の風評などで個人の尊厳や人権が損なわれることがないよう、市として、差別・バッシングを許さないメッセージを強力に発信すること。
  • 高齢者をターゲットにした給付金詐欺などにも注意喚起をいっそう行うこと

■「ポストコロナ」の市政切り替えについて
 今回のコロナ危機(パンデミック)は、これまでの社会や行政のあり方を根本から問い直すものになっています。
 これまでの医療費削減政策で急性期のベッドを減らしていく、公立・公的病院や保健所の統廃合などのやり方によって、日常的に医療のひっ迫状況をつくり、コロナ危機に対しても脆弱な状態をつくりだしました。労働法制の規制緩和によって不安定雇用をひろげ、コロナ危機のもとで派遣やパートで働く人の雇い止めという形で噴き出しています。
 経済のあり方も、これまでのもっぱら外需依存の経済のあり方、医療・介護のケアに必要な物資、食料、エネルギーも海外に頼ってきたあり方を見直し、内需・家計を経済政策の軸に据えること、人間の命に必要なものは自分の国でつくる経済への転換が求められます。
 また、パンデミックのもと、ジェンダー差別が深刻となる事態も起こっており、コロナ対策でもジェンダーの視点をつらぬくこと、ジェンダー平等の社会をつくっていくことも切実な課題になっています。
 奈良市政においても、「職員適正化計画」(職員削減計画)、非正規化や民営化の拡大、学校園など公的施設の統廃合計画など公的責務を後退させる施策を転換し、内需中心の地域内経済循環づくりや、「財政調整基金」を適切に蓄えることなど、感染症や災害への最大限の備えをすすめ、日常から余裕をもった体制整備を求めるものです。



以上