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政策と提案
2012/6/7 更新
奈良市 仲川市政の問題点を見る
日本共産党奈良市会議員団 西本守直議員の報告  
 2009年7月の奈良市長選挙で、仲川元庸市長が誕生して2年10カ月。当時33歳、全国で2番目に若い市長の誕生として注目されました。日本共産党は、市長選挙で明るい革新奈良市政をつくる会の構成団体として共同の候補者を擁立し、仲川氏らとたたかい、同時に行われた市議選では7人全員当選をはたしました。共産党議員団はこの間、選挙で掲げた市民のいのちや暮らしを守る公約の実現をめざし、「脱ムダ、脱しがらみ」を掲げる仲川市長には是々非々の立場を貫いてきました。しかし、仲川市長の政治姿勢には看過できない問題が多々現れています。5月9日にまた市幹部が逮捕されたように、不祥事が連続していることもその現れです。それは仲川市長の政治姿勢と無関係ではありません。問題点を見てみました。

憲法や地方自治法の精神無く きわだつ公務の責任放棄

不祥事続き「脱しがらみ」どこへ

 奈良市では、市や議会に警察などの強制捜索が入ったのが昨年来5度目です。ところが、仲川市長は不祥事を反省するより、自ら「奈良市は不祥事のデパート」などと騒いで、公務員バッシングの先頭に立っています。
 もちろん不祥事そのものは許されず、厳しく対処する必要があります。しかし続出する背景に、仲川市長が憲法や地方自治法など「全体の奉仕者」としての公務員の依って立つべき基盤に立たず、逆に「民間でできることは民間で」、「職員削減・賃金削減」などすでに破綻している新自由主義路線を踏襲し、しっかり公務の責任を果たす立場に立っていないことがあると言えます。
 連続する不祥事ではベテランの幹部職員が逮捕されています。自ら徴収した税金を着服して逮捕された元職員は、税の徴収では仲川市長と綿密に打ち合わせをしていました。市は、減収で本当に困った人からも容赦なく徴収するなど、取り立てを厳しくしていますが、大口滞納者には甘いなど不公平がまかり通っているのが実態です。

職員削減と過重労働押しつけ

 市長は「職員がまず身を削れ」と、過去5年間に150人の削減計画を108人も上回る、実に258人もの削減を強行。さらに今後5年で150人の削減計画を出しました。この結果、市長部局での非正規職員の割合は33%と、3人に1人となりました。
 一方、2010(平成22)年度で総残業時間のべ33万時間(課長補佐以上除く)、残業手当は累計8億円となり、過労死ライン超えはのべ583人、病気休暇も270人、現職死亡は10年で50人など深刻な事態です。
 市自らワーキングプアーをつくる非正規職員を増やすとか、健康を害するほどの残業漬けは問題です。適正な職員確保が求められています。

仕事減らす口実で民間委託推進

 しかし仲川市長は、こうした職場の実態を巧みに利用する形で、今度は「職場が大変なので、仕事を減らすために民間委託を進める」として、議会での議員質問を巧みに使って「ごみ収集部門は民間に委託する」とまで答弁しています。
 そして、ついには、さまざまな業務に、本来行政が責任を持つべき業務を民間の競争入札にかけて、安い方に仕事を渡すという、市場化テストの導入に踏み出そうとしています。
 「市の窓口業務やごみ処理関連業務、選挙事務、図書館運営業務、各種証明発行事務、市営住宅の運営管理事務その他の事務を対象にしている」と答弁しています。
 公務の責任放棄は、職員の労働条件の悪化、業者の適正な利益の保障も無視、市民サービスの低下、市民の個人情報保護など多くの問題が派生することが予想されます。

トップダウンで住民要望無視

 仲川市長は、就任当初から事業仕分けに取り組み、外部委員に仕分けをさせ、多くの施策を切り捨ててきました。JR奈良駅前の再開発ビル2階にあった男女共同参画課の追い出しもそのひとつです。後の商業床は未だに後継テナントが見つからず、空家賃を払い続けています。市街地開発会社社長も市の意向に沿わないと、当人抜きで突然総会を開き、副市長を社長に据えるということまでやっています。
 西大寺駅南の公社保有地については、地元自治連合会が「ふれあい会館建設を」と要望していますが、それを無視して、民間保育所建設を強行に推進しています。地元自治会からは「ふれあい会館建設」の請願が出されました。
 三条通りの拡幅や、多額の費用がかかるさまざまな市長の委員会を設置するなどムダも重ねており、脱ムダも実現していません。

不祥事バネに職員バッシング

 財界と政府が進めてきた新自由主義=構造改革路線で、国民の中に貧困と格差の広がる一方、財界は巨大な利益を上げています。こうした政治に国民の怒りや不満が高まっています。その批判の矛先を、財界や政府に向けさせないために「公務員は高給」、「公務員は働かない」と巧妙な世論操作がされています。
 仲川市長もそうした立場で、不祥事さえ逆バネにして公務員バッシングを行っているのです。
 その1例が、市長のブログに「今こそ現業部門の改革」としていることです。市長は3月議会でまるで「財政難」の原因が職員の人件費にあるかのように、また市民の批判を引き出すように、わざわざごみ収集課の中で最も給与の高い職員を引き合いに出して、ここを皮切りに大なたを振るおうとしています。
 これまで労使交渉で決めてきた労働条件も、環境清美部に限定して特殊勤務手当の全廃を提案。合意が得られないといきなり50%カットを議会提案しましたが、唐突で合意もないことから結局議会で否決されました。人件費でも、県の人事委員会勧告引き下げに加え、独自に2〜5%カット、さらに一時金も加えるという給与カットを押しつけています。
 仲川市長は労働組合を敵視する姿勢で、これまで労使で積み上げてきた経過を無視して、痛みを押しつける手法が目立っています。労使のルールに従い、議会で十分論議して進めるべきです。

職員信頼し全体の奉仕者に

 市長は職員の人事評価制度を新たにつくり、今年度から課長職で試行実施し始めました。また服務規律の確保を徹底するために、これまでの条例等をひとつにした条例を制定したい旨の答弁をしています。その際、大阪維新の会の「職員基本条例」も参考にするとしています。これは行き着くところ、市役所職員を市長の命令に従う、もの言わぬ職員に仕立て、市民全体の奉仕者から市長に奉仕する職員をつくろうとするものです。
 仲川市長が進める一連の手法は、結局は職員力を低下させ、職員と市民を分断し、協働の基盤を掘り崩すことになるでしょう。そうでなはく、適正な職員数の確保や給与等の勤務条件を整備し、公契約条例を制定し、業者にも適正な利益を保障するなど、憲法や地方自治法にうたうとおり、市民全体に責任を果たすことこそ必要です。
 そのために仲川市長に今求められているのは、職員を信頼し、職員の持てる力を引き出し、市民と力を合わせて、真に市民本位の市政をめざしていくことではないでしょうか。それこそが職員が自由にものを言い、働き甲斐のある職場をつくることになり、不祥事をなくす道になるでしょう。

共産党は信頼される市、議会へ全力  

 こうした中で、不祥事の解明、市民の要求実現に議会も役割を発揮すべきです。日本共産党奈良市会議員団はこの間、議会や市の不祥事を解明するため地方自治法に基づく100条調査委員会の設置を要求し、市民から出された同趣旨の請願も採決するよう求めています。また、議会改革の先頭に立って奮闘しています。
 日本共産党議員団は市民のみなさんと力を合わせ、引き続き疑惑の解明、市民に信頼される議会や市政をめざして全力をあげる決意です。(完)