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市議会報告
2012/4/23 更新
2012年度3月議会をふりかえって

2012年度3月議会は、3月7日(水)から26日(月)まで開かれました。今議会は、野田内閣が「税と社会保障の一体改革」による消費税10%への増税と社会保障改悪をすすめる中で開かれました。また橋下大阪市長が憲法違反の思想調査の強行などすすめるなど独裁を進める中で、奈良市における職員基本条例策定にむけた市長の姿勢なども問われた議会でした。
特に議会論戦を通じて仲川市長の政治姿勢が鮮明になってきました。市長は「民間でできることは民間でと、証明書の発行や窓口業務、選挙事務なども入札にかけて民間委託をすすめる」と自治体の役割を投げ捨てる方向を打ち出しています。
このような中、日本共産党奈良市会議員団は、2012年度の予算案の審議とともに、一連の奈良市及び市議会での不正の問題追求など7人力を合わせ革新懇とも連携して議会にのぞみました。

議会論戦では

 井上昌弘議員が代表質問、2012年度奈良市予算案、公金着服事件、維新の会の職員基本条例案、原発問題などについて仲川市長の姿勢について質問しました。  一般質問では、西本守直議員、吉川等子議員、北村拓哉議員が質問に立ち、多額の滞納税の不納欠損処理、職員の削減と給与カット、県立病院の建替え、クリーンセンター建設計画などについて質問しました。
 予算特別委員会には、松岡克彦議員、山本直子議員、山口裕司議員が入り、松岡克彦議員は予算特別委員会副委員長に選出されました。  特別委員会での質問では、2012年度予算案の全体について、職員の給与カットと定数削減、中小企業対策、生活保護行政、乳幼児検診、コミュニティバス、高齢者福祉と介護保険制度、配食サービスと訪問理美容サービス、月ヶ瀬地域の救急搬送、水道料金の減免制度などについてそれぞれ質問しました。  また予算特別委員会の市長総括質問では山口裕司議員が、仲川市長に対し職員数の削減と民間委託、市場化テストの導入について、大阪の職員基本条例案について、2012年度奈良市予算案などに市長の政治姿勢について質問しました。

※質問の詳細は奈良市議会、奈良市ホームページの市議会のページの議会中、会議録など参照して下さい。

 

市民とともに運動、日本共産党市会議員団も取り組んできた課題で予算化されたもの
  • 30人学級、5年生まで拡大。(4、5年生は30人程度学級)
  • 学校園トイレ環境改善
  • 子ども条例制定にむけ予算化
  • 休日夜間応急診療所建設及び診療内容の拡充
  • 買物弱者対策
  • 左京認定子ども園スクールバス運行
  • 特別支援教育の充実
  • 中学校給食今年度より工事着工、25年度富雄南・都跡中学校で開始予定(4年間で全市立中学校開始予定)
  • 学校給食の公会計化を検討
  • 学童保育改修工事(平城西・済美南)及び長期休暇中の開所時間がこの夏休みより8時に繰り上げ
  • 「いちご病児保育園」が市立奈良病院敷地内に開園
  • 大和西大寺駅前に保育所開園
  • 待機児童解消に向けた既存保育所での保育士増員及び増改築
  • 子宮頸がん等3種ワクチン接種の公費助成継続
  • 介護保険料の引き上げ額を抑制
  • 救急医療情報キットの配布(70歳以上の単身世帯)
  • 公契約条例制定
  • コミュニティーバス
  • 西部図書館駐車場整備
  • 大和西大寺駅北側、自転車駐車場整備
  • 住宅リフォーム制度今年度も継続
  • 全市立小学校に災害時備蓄倉庫設置
  • 土砂災害ハザードマップの作成及び配布
  • 放射線量率測定機器の導入
  • 有害鳥獣捕獲駆除奨励補助
  • 月ヶ瀬地域に救命士及び高規格救急車の配備を検討
  • 木津中の川線の拡幅整備について地元合意は得られておらず困難。早期に結論を出せるよう木津川市に要望

反対議案について

 今議会、市長から提案された議案の内、日本共産党市会議員団は一般会計予算、国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療保険の条例改正や予算(いずれも保険料の引き上げ)や一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の制定議案など12議案と2つの修正案に反対しました。その他の53議案には賛成しました。
 本会議でおこなった反対討論の内、一般会計及び任期付職員採用議案に関わる理由は以下の通りです。

一般会計予算に対する反対理由

本予算案は、これまで我が党も要求し市民の運動もあった30人学級の拡大や学校園のトイレ環境改善、買物弱者対策など市民の切実な願いを反映している面もあります。  しかし全体としては職員の皆さんに犠牲を強いる一方で、よく精査をすれば今すぐにしなくても良いと思われるマニフェスト関連や新規事業に重点をおいた予算となっています。とりわけ高齢者のみなさんのにとっては福祉センターの予算カットや万青クラブへの補助金単価の切り下げなど冷たい予算となっています。またより一層の行革を推進する予算です。  とりわけ職員給与の削減について、市長は来年度、大幅な職員給与の引き下げを提案し、「人件費カットで7億4千万円を捻出し、社会保障に回す」と答弁されました。しかしこれには数多くの問題が含まれています
。  まず人件費の総額でみると、対前年比3億5千万円程度の削減しか期待できません。しかも社会保障関係の予算は前年度より削減されたものが多く、むしろ市長のマニュフェスト関連の新規事業は16億円にも上っています。
さらに職員の人件費について言えば、いうまでもなく公務員労働者は戦後間もない時期に、労働基本権を制限された代償措置として、人事院勧告制度が設けられ、民間との給与格差の是正が図られてきました。その点では、すでに12月議会で、県の人事委員会勧告に基づく給与の引き下げが行われ、官民の格差はすでに解消されています。 しかし今回の提案はその上さらに引き下げを行なうというものです。わが党は、国家公務員の給与引き下げについて、「憲法に反して、労働基本権を制約されている上に、人勧制度さえ無視して、一方的な不利益を押し付けることは「2重の憲法違反」だと反対しています。
 市ではこれまで、平成17年度から2度、6年間にわたって独自の引き下げを行ってきました。今回の提案は、さらにこれを上回る2〜5%と一時金のカットという、課長クラスで32万6千円もの大幅な引き下げです。
質問でも明らかにしたように職場は、休暇も取れず、残業は過労死ラインを超える職員が、のべ583人を数え、病気休暇者が続出しています。市長はさらに、人事評価制度の導入や職場風土一新プロジェクトの立ち上げを提案していますが、これでは働く意欲もわいてきません。また人件費の削減は、市の関連職場や民間労働者の賃金にも波及し、地域経済にも影響してきます。 また、こうして身を削ることは、職員力を低下させ、職員と市民を分断させて市民との協働の基盤を掘り崩すことにもなり、単に職員の問題にとどまらず、それは市民サービスの切り下げ、ひいては市役所の職場そのものを次々と、民間に解放していくことになると考えるからです。
現に、財政難を理由に人件費を削減し、その結果、職場が大変になると、今度は民間委託をすすめ、ついには市場化テストの導入まで答弁されました。
言うまでもなく地方自治体は、住民の福祉の増進が本来の役割です。奈良市の財政について言えば、日本共産党市会議員団は、これまで一貫して借金で大型公共事業をすすめることには反対をしてきました。
ただ今日の財政難は、一朝一夕に解決できる課題ではありません。わが党は先日、国と地方の財政危機を打開するために、消費税に頼らず社会保障を充実させ、財政再建をすすめる長期的な視点に立った、財政危機打開の提言を発表しました。以来、経済界や、学者・研究機関、労働界、農林業や医療、消費者団体その他、各界から大きな共感が寄せられています。 奈良市も、予算の節減に努めることは言うまでもありませんが、そうした中でも、国に対して、必要な制度改革や財政支出を求めるとともに、いかに地域経済を活性化させるか、市民の暮らしを守ることを最優先させるかを最重要課題として予算を編成することが求められています。
またこの予算には、三条通商店街の拡幅に7億4千万円が計上されています。財源は国の補助金が約半額、残りは借金です。私たち議員団は、この工事に着手したときから、地権者の半数近い方が反対していることや、商店街の将来像が示されていない中で、道路の拡幅先にありきになっている点などを指摘し、これでは奈良らしさが失われると反対してきました。工事がかなり進んでいる現在、チェーン店や空き店舗、遊休地が目立ち、マンション建設の話しまで浮上し、新聞各紙も「奈良らしさが鍵」、「三条通り活気模索」などと事業効果に疑問を投げかけ、市も議会の委員会で「空き店舗が増え、人通りが減ったのは拡幅工事が原因」と認めています。市は工事を急ぐのではなく、改めて地元商店街を中心として、街づくりのビジョンを考える必要があると言うことを指摘しておきます。
こうした点から見て、本予算は大変大きな問題を含んだ予算であることから、一般会計に反対します。

一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例の制定についての反対理由

 今回の条例案では非専門的任期付職員をはずし、特定任期付職員、一般任期付職員に限定していますが、有期雇用を公務職場で導入するという骨格は変わっていません。一連の市長答弁を見ましても、正規職員削減、その受け皿としての業務の民間委託、任期付職員制度の導入は一体のものとして位置付けられています。 また任命権者による恣意的な採用が行なわれるおそれが依然としてぬぐえません。競争試験による採用ではなく、原則公募をうたっていますが、条例案では選考採用することができるとの文言は依然として残されています。
採用しようとする業務の遂行(すいこう)に必要な「専門的知識経験者」の判定基準が不明確という我々の指摘は依然として解消されていません。これまでの市長の答弁をみても、生活保護のケースワーカー、徴税業務、給食調理、などにこの制度を導入したいとしており、今回も当初の説明ではCIO補佐官、看護学校長に適用したいとしていましたが、本会議答弁では徴税吏員もこれに加わるなど、採用職種の拡大には歯止めがないと考えます。
2010年9月定例会での我が党の西本議員の質問に対し、市長公室長は「任期付職員の雇用継続について、3年、5年という年限を設けているので、それ以降の雇用継続というものは考えていない」とはっきり述べています。取り分けて継続性と安定性が求められる公務職場で有期の雇用を導入することは、雇用の不安定さを増大させることになり、反対するものです。 尚、議案第38号の修正案は、任期付職員の採用について職種をさらに拡大するもので反対です。

予算の組み替えを提案

 2012年度一般会計予算は、いっそうの民間委託や行革を推進するとともに、マニフェストを優先させ、一方で老人福祉センターの管理経費の削減(1030万円)、万年青年クラブへの補助単価切り下げ(5万4千円→5万円に)、高齢者関連施設の修繕経費の削減など高齢者に冷たい予算案になっています。
 これに対し、日本共産党奈良市会議員団は、職場風土一新プロジェクト、政策アドバイザーの設置、事務事業の総点検ワーキングなどの経費を削減し、高齢者福祉予算を復活する組み替え提案をおこないました。これには無所属議員2人も賛成をしましたが、否決されました。

組み替え動議提案説明

高齢者の暮らしは、かつてなく大変になっています。とくに、この間の連続する年金削減で、ようやく生計を立てておられる高齢者も少なくないなか、民主党・野田政権は消費税大増税と一体に、さらなる年金の給付削減や支給開始年齢の先延ばし、医療介護の自己負担増、保育の公的責任放棄など、社会保障のあらゆる分野を切り捨てようとしています。この計画が家計に与える影響は深刻であり、高齢者にも容赦なく直撃し「これでは生きていけない」と悲鳴や怒りの声が渦巻いています。
 自治体が、住民福祉の向上に役割をはたし、命を脅かすような国の冷たい政治から「暮らしを守る砦」になることがいまほど求められているときはありません。「福祉都市宣言」「高齢者とともに歩むまち奈良」宣言をしている本市が、高齢者に心通わせ、暮らしを守るあたたかい施策に力をいれることがとりわけ求められています。
 来年度予算は、防災や子ども施策など評価できる点もありますが、高齢者福祉には冷たい予算だと言わざるを得ません。奈良市の「老春手帳優遇措置事業」いわゆる「シルバーパス」が改悪され、バス乗車や公衆浴場の入浴に1回100円の自己負担導入、映画優待制度が廃止されて3年以上が経ちました。外出機会が著しく減少し引きこもりになったり、必要な通院の回数を減らさざるを得なくなった高齢者が後をたちません。「改悪前に戻してほしい」の声に奈良市は正面から応えるべきですが、せめて、老人福祉センターは、これまでどおり職員を配置し、老人憩の家を含め、危険箇所・故障機器の改修や耐震診断をすすめること、老人クラブへの助成も単価を減額せず支援することが必要です。また障がい者福祉のなかで、せめて、重度心身障がい者・児の生活行動範囲の拡大と社会参加の促進を図るため、総務費のうち2307万円を減額し、民生費のうち、老人福祉センター運営管理経費、万年青年クラブ活動経費、高齢者福祉施設整備事業費、および福祉タクシー助成経費を増やし、2307万円増額する予算に組み替えるべきと考え、動議を提出するものです。

市と議会の不正を正す取り組み

幹部職員の公金着服や議長選挙の不正などについて、それぞれ真相究明を求めるための100条調査特別委員会設置を求める請願書が市民から提出されています。
 また私たち議員団も参加をしています奈良市革新懇のみなさんは、100条調査委員会設置の署名運動にも取り組み、3月16日1571名分の署名を上原雋議長に提出しました。
 日本共産党奈良市会議員団は、一連の不正や疑惑を解明するために議会の報告会などにも取り組み、たくさんのご意見もいただいてきましたが、今後もみなさんとともに市の不正については徹底的に追求していきます。また議会で起きた問題については議会の自浄作用が発揮され、真相究明と再発防止がなされるよう全力で取り組んでいきます。

意見書について

 今議会から議会改革検討特別委員会での議論を経て、我が党が主張してきた意見書(案)の公開の場(議会運営委員会で扱う)での議論が始まりました。
 3月は下記の2件の意見書が全会一致で採択されました。障害者総合福祉法の早期制定を求める意見書については我が党からも文案を提案し他会派案と調整しまとまりました。
  • 障害者総合福祉法(仮称)の早期制定を求める意見書
  • 「こころの健康基本法(仮称)」の法制化を求める意見書
 我が党提案の他の意見書(案)については継続審議となっています
  • 市町村の自己水源の確保を図るとともに安価で清浄な水道水の供給を求める意見書
  • 消費税増税に反対する意見書
  • 「公的年金削減」の中止を求める意見書
  • 独立行政法人都市再生機構賃貸住宅(旧公団住宅)を公共住宅として継続し、居住者の居住の安定を求める意見書