2025・3・28(金)3月定例会本会議討論(令和7年度関係議案)
日本共産党奈良市会議員団の井上昌弘です。会派を代表して討論をいます。
○議案第48号 令和7年度奈良市一般会計予算
○議案第13号 令和7年度奈良市国民健康保険特別会計予算
○議案第15号 令和7年度奈良市介護保険特別会計予算
○議案第17号 令和7年度奈良市後期高齢者医療特別会計予算
○議案第21号 刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係条例の整理に関する条例の制定について
○議案第31号 奈良市国民健康保険条例の一部改正について
○議案第47号 工事請負契約の締結について
以上7議案に反対します。また、議案第20号令和7年度奈良市下水道事業会計予算には意見をつけ賛成します。
残余の議案には賛成します。以下理由を述べます。
反対する議案
〇まず議案第48号 令和7年度奈良市一般会計予算についてです。
昨日、市長がいったん取り下げ、本日付で再提出された来年度予算については、プレミアム付商品券発行事業6億6,500万円の減額など、予算決算委員会で我々が提案した組み替え動議の一部が反映されているものの、佐保小学校校舎建設予算はそのままであり、災害時には水・食料と並んで必要不可欠なトイレ関連の予算が減額されており、公共交通事業者に対する3千万円の燃料費高騰対策費が減額されていることなど、我々の予算組み替え動議の提案の主旨と相当の距離があると考えます。以下具体的にのべます。
〇新年度予算は何よりも、物価高対策、市民生活応援を最優先にするものでなければならないと考えます。その中には、防災・減災対策の関連経費、小中学校体育館への空調設置、中学校の給食費無償化、小中学校エレベーター設置、公民館のトイレ洋式化等改修、高齢者補聴器購入助成など、わが党も要望してきた切実な願いが一定反映された評価すべき内容もあります。
一方で、リニア、万博、佐保小学校校舎建設など、不要不急の予算や保護者の合意形成が行われていない佐保小校舎建設事業等、認めがたい予算となっています。
〇まず、リニア中央新幹線中間駅誘致事業についてです。
この事業については、聖域のように毎年の予算計上が続いています。過大な需要見通し、公的資金投入で国民負担が増大するおそれ、水位低下や水枯れなどの環境破壊、残土置き場などの未解決の課題が山積しており、リニア本体の建設工事や事業は大きく行き詰まっています。リニア事業とともに中間駅誘致事業は中止すべきです。
〇次に万博連携事業費についてです。
昨年3月にガス爆発事故が起こり、今もメタンガスが一日に2トンも発生している大変危険な場所であること、前売り券も目標からほど遠く、運営費が赤字となれば、負担が国民に転嫁される危険があること、大規模災害時の防災対策や避難計画も依然としてみえないままであり、来場者のいのちを守れる保証はありません。カジノ推進のために、万博会場にした問題点が露呈しています。
〇佐保小学校校舎建設事業についてです。尚、この校舎建設予算は議案第47号の工事請負契約議案と一体ですので2つ合わせて理由を述べます。
佐保小学校校舎建設事業費2億3,040万円が計上されています。同費用は、債務負担行為の限度額オーバー分の校舎解体費の大部分や外構工事を別年度に回す計画に変更し、工事を分割して進めるやり方を前提に令和7年度充当分を予算化したものです。
わが党が何度も指摘したとおり、こうしたやり方自体が、債務負担行為の事業限度額設定の予算審議や議決の意味を失わせる前例のない行為であり、明らかな議会軽視です。これを議会が認めれば、債務負担行為の制度自体が形骸化してしまいます。
この学校統廃合計画に対して、鼓阪小児童2人と児童代理の保護者1人から、鼓阪小の統廃合計画の見直しを求める新しい請願3件が提出されました。3月11日の請願審査では、これまでからの2件も含め5件すべての請願の継続審査を決定。中でも鼓阪小の児童・保護者からの4件の請願は、付託された委員会で全会派・全委員の賛成により継続審査が決定された事実は、大変重いと言わねばなりません。
過去の奈良市の学校統廃合をふりかえると、2016年に方針発表された右京小・神功小・平城西中の統廃合は、過小規模でない学校統廃合をおこなった奈良市で初めてのケースでした。このときも両小学校保護者、両地区住民から、右京小存続および統合校(小中一貫校)早期実現という「正反対の請願」が議会に出され、何年にもわたり審査が行われました。しかし請願審査中にもかかわらず、市が統合推進の関係予算を提出する形で強行がされ、住民合意のない統廃合ゴリ押しは、地域や保護者間に深刻な分断を引き起こし、当事者への攻撃的文言がSNS上に並ぶ事態にまでなりました。
いま、鼓阪小・佐保小の統廃合計画もまったく同様のことが繰り返され、市が分断をあおる形になっています。住民合意のないゴリ押しを再現させてはなりません。議会としての過去の統廃合の対応がどうだったかを深く掘り下げ、どう責任を果たすかが問われています。先の請願審査で「合意形成の全くない鼓阪小・佐保小の統廃合を現時点で進めるべきでない」と、議会が下した判断をふまえれば、統廃合を前提とした工事予算は認めることはできません。
一方、佐保小校舎の建て替えや改修等の早期更新は必要です。統合校の建設強行は認められませんが、そもそも市が示す工事工程をみると、国からの補助金や起債目あてに工事を急ぐあまり、きわめてタイトになっています。この「居ながら工事」は、児童の学習環境への重大な影響は避けられずこれ自体問題です。
予算決算委員会にわが党が提出した、組み替え動議の趣旨説明でも述べましたが、統合校建設の動きはいったん区切りを付けた上で、佐保小校舎の早期更新の今後の方針を再検討することが必要です。それには関係者での協議や合意形成など一定期間を要することも明らかです。その間も佐保小児童の活動を制約している状況が続き、それは直ちに解消しなければなりません。本会議でのわが党質問への建設部長の答弁を通じて、原状復帰整備に要する費用は約1億4,000万円、期間は13か月間と判明しており、同整備を直ちに行うべきです。そして、それと並行して今後の方針の再検討にすみやかに着手することを強く求めます。
〇次に自衛官募集事務経費についてです。
ポスター掲示費用として35万5千円が全額国庫負担金として計上されています。また募集事務の一環として、自衛官募集のために毎年6000人前後の若者名簿を提供しています。しかしこの間のわが党の質疑を通じてその問題点が浮き彫りとなりました。本人や保護者の了解なく個人情報を提供しており、プライバシー権の侵害にあたること、未成年者への求人活動としてハローワークや高校を通さず募集活動を行っており、教育的配慮に欠けること、自衛隊名簿提供違憲訴訟において、個人情報を守らなければならない奈良市と、それを募集に使う国とは立場が全く違うのに、法務局の職員が奈良市の指定代理人を兼ねており、基礎自治体としての独立性が問われていること、自衛隊に名簿を提供した日が特定できないなど個人情報管理がずさんであることが明らかになりました。名簿提供はやめるべきです。
〇次にシステム標準化・共通化対応経費についてです。
本会議や総務分科会での質疑で、国策として進められている事業であるものの、運用経費を3割削減できるという目標そのものの達成がすでに怪しくなってきていること、奈良市では移行前のシステム運用経費5億9千万円が移行後は11億9千万円と2倍に膨れ上がると予想され、システムの最適化どころか肥大化の懸念があること、移行経費は国が負担するものの、移行後の運用経費は自治体負担となり、本市の財政負担の大幅な増大につながりかねないことが明らかになりました。少なくとも現行の経費負担の水準を上回らないようあらゆる場で国に働きかけていただきたいと考えます。
〇次に幼保再編についてです。
新年度予算では済美幼稚園の民間移管に伴う引き継ぎ保育等に必要値経費と、六条幼稚園と京西保育園の統合・民営化にあたり、近隣の旧六条幼稚園舎建設予定地へのアクセス道路用地を取得するための費用が計上されています。
我が党は、地域の保育を守り、奈良市の保育実施責任を果たす上でも、市立保育施設は不可欠の存在であり、幼保再編計画は奈良市の責任を投げ捨てるものだと指摘、撤回を求めてきました。
とりわけ、六条幼稚園と京西保育園の統合再編のうえ民営化するという計画です。京西中学校区内では伏見保育園と伏見南幼稚園の統合と民営化の方針も示されており、この二つの計画が実施されれば、同校区から市立幼保施設はなくなることとなります。
いま、医療的ケアが必要なお子さんや、発達障害など配慮を要するお子さんの預け先が全国でも課題となる中、市立園では、受け入れの拡大に向けて努力が重ねられています。この奈良市の姿勢は、保護者のみなさんからも高く評価され、市立園は頼れる存在として認知されています。
そのことから、一つの地域から市の幼保施設がなくなることは、その地域の保育環境の低下を招くことにつながり、奈良市の保育実施責任の後退だといわねばなりません。少なくとも、六条幼稚園と京西保育園の統廃合にあたっては、土地の利活用と民営化とは切り離して考えるべきだと指摘しておきます。
○次に議案第13号及び議案第31号、国民健康保険の予算と条例についてです。
この間、奈良市では令和6年度の奈良県統一の運用に向けて、国民健康保険料を上げ続けてきました。その結果、現在の保険料は大変高く、市民にとっては大きな負担となっています。その中で、今年の予算には多額の予算を使い、市民を支援するのではなく、市民から保険料を取り立てるための予算が計上されています。今、行政がすべきことは市民から保険料を搾り取るのではなく、保険料を引き下げることです。奈良県統一国保料とはなってはいますが、奈良県の四分の一の人口を占める奈良市が要望すれば国保料の引き下げは十分可能と考えます。市民の負担を軽減するための予算が全く含まれておりません。
また議案第31号の条例改正には、国民健康保険料の後期高齢者支援金等賦課額の賦課限度額を22万円であったものを、県から示された金額である24万円に引き上げる内容が含まれており、市民の負担をさらに増やすことになります。
○次に議案第15号についてです。
介護保険の保険給付の財源は、居宅給付も施設給付も国と県、市が併せて二分の一を拠出し、あとの半分は、1号保険者、2号保険者の保険料で負担しなくてはなりません。今後、介護を必要とする方は、高齢化が進む中で当然、増えていきます。現在の制度のままでは、介護を必要とする方がふえればその分、保険料の負担が重くなってしまいます。現在でも大変負担の大きい介護保険料をこれ以上高くすれば、大きく生活を圧迫することになります。公費の負担を増やすように、国と県に制度を改善していくように働きかけていくべきです。介護保険料の負担は第8期に比べ、18段階のうちのもっとも低い階層のみ負担が下がりましたが、あとのすべての方が負担増となっています。市民の負担を軽減する計画が盛り込まれておりません。
○次に議案第17号についてです。
後期高齢者医療については、奈良県後期高齢者医療広域連合での一括運用となっています。国民健康保険に加入していた74歳の方が、75歳になった場合、所得が変わらなければ、保険料は国保料よりさらに上がってしまいます。高齢化が進む中でこの制度のまま運用すれば、後期高齢者の保険料は上がり続けることになります。数年で払えない保険料となってしまいます。この物価高騰の中、高齢者をさらに苦しめることになります。抜本的な制度の改革が必要です。国や県に制度改革を訴えていくべきであり、市民の負担軽減が考慮されておりません。
○次に議案第21号についてです。
本議案は「刑法等の一部を改正する法律」の施行に伴い、刑の種類として、従来の「懲役」及び「禁錮」が廃止され、新たに「拘禁刑」が創設されたことにより、本市の「行政不服審査法施行条例」など関連条例の所要の文言を整理する内容です。
問題は元となる刑法の一部改正です。
○侮辱罪について現行の法定刑の厳罰化により、限定的だった現行犯逮捕ができるようになります。北海道警察が街頭演説中にやじを飛ばした市民を排除したように、捜査当局の判断で政治的な表現の自由が脅かされかねません。仮に不起訴になっても現行犯逮捕は、表現の自由に対して大きな委縮効果をもたらします。
○また懲役及び禁錮を廃止し、拘禁刑に一本化されます。これまで懲役刑については作業を義務付けていましたが、禁固については作業を義務付けておりませんでした。法改正により当該受刑者すべてに作業と指導を強制するもので、1907年に制定された刑法典の刑罰体系を根本から変え、厳罰化するという重大な改定です。
これらはいずれも国際的な刑事処遇の潮流に逆行するもので、刑法の根幹を変え、権力者の濫用のおそれがある重大な改悪であり認められません。
最後に意見を付して賛成する議案について述べます。
○議案第20号 令和7年度奈良市下水道事業会計予算についてです。
今年、1月28日、埼玉県八潮市の県道において道路陥没が発生し、トラック運転手が車両ごと落下し依然として救出されていません。奈良県の人口が129万人ですから今回影響がでた埼玉の120万人というのは奈良県全体に匹敵する大規模な陥没事故だということです。
下水は絶えず流れており止めることができない、水道のようにバイパスがない、自然流下なので広域化されればされるほど深く大きな管路を埋めなければならない、有機物が含まれた汚水なので危険であり、目視による点検がしづらいなど、水道と違った維持管理の難しさがあります。
耐用年数でいえば下水道管路の法定耐用年数50年ですが、埼玉での事故を受けた有識者委員会への提出資料でも下水道管路設置後40年を境に急速に陥没事故が増えることが明らかになっており、50年でいいのか、事故現場は前回の点検から5年も経っていないのに起きており点検は、果たして5年に1回でいいのか、点検も腐食しやすいところだけでいいのか、維持管理と更新を一体契約などを条件とする民間委託契約であるウォーターPPPを令和9年から導入しなければ汚水管の更新についての国からの交付金はださないということを本当にすすめていいのか、が問われてくると思います。事故の原因が究明されればその教訓をしっかり市の下水道事業に生かしていただくことを要望いたします。
以上で討論を終わります。 |