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トップページ - 制策・提案 - 3月22日、予算組み替え動議提案 趣旨説明
政策と提案
2023/3/22更新
予算組み替え動議提案 趣旨説明
2023年3月22日
 
日本共産党奈良市会議員団


議案第15号 令和5年度奈良市一般会計予算修正案 趣旨説明(2023年3月22日)
 

 私より、「議案第15号 令和5年度奈良市一般会計予算に対する修正案」の提案趣旨につきまして、説明をさせていただきます。

 奈良市は、鼓阪小学校を廃校にして佐保小学校に統合する計画を、鼓阪地区の住民、保護者、卒業生などの理解も納得もない中、新年度予算に統合先の施設建設の設計等の費用を計上し、計画を強行しようとしています。

教育長は、「『子どもの教育』」という、地域にとって、たいへん重要なことであるため、行政が一方的に進めていくことではなく、『子どもたちのために』という視点を大切にし、地域の皆様の十分な理解と協力を得ながら進めていきたい」と、議会で再三にわたって述べておられますが、鼓阪地区に発足した「鼓阪を守る会」による「鼓阪小学校の存続を求める」要望署名が短期間の内に3,670筆に達したことにみられるように、鼓阪小学校の統廃合について、地区住民や保護者の「十分な理解と協力」を得られていないことは明らかです。
 奈良市がすすめる学校統廃合計画によって、鼓阪地区から通う子どもに強いる身体的精神的負担、交通事故に遭う危険、命を脅かす危険が生まれています。市は「開校(令和8年4月)までに必要な安全対策を行う」とこれまで繰り返していますが、統廃合計画を市から示す時点で、保護者の不安を解消できる通学の安全確保の方策を示せないのは「市の対策が手詰まりであること」が露呈しているといわねばなりません。通学の安全確保は子どもの命にかかわる問題です。子どもの命の安全にまさる計画はありえず、これは鼓阪小統廃合の是非以前の前提の問題であり、通学の安全対策すら示せない状況で計画を推進するのは論外です。
 統廃合に伴う鼓阪地区児童の通学時間の長時間化によって、児童やその家庭の生活リズムは激変します。また、低学年をはじめ、児童のほぼすべてに体力的に大きな負担を課し、このことが安全上のリスクになることが想像できます。通学時間の長時間化を減少・解消するための責務を奈良市は有していることを自覚すべきです。
鼓阪小学校の児童、教職員及び保護者の努力と工夫により、同校の教育は、市内の他の小学校と比べても全く遜色なく、学力や不登校、いじめの認知件数などでも特に問題がある学校ではありません。市は鼓阪小学校の日頃からの努力に敬意をもち、同校の教育実践に即した、子どもたちのリアルな姿や教育活動を正当に評価できているのでしょうか。

教育委員会が「過小規模校のプラス面」としてあげた4点 @個に応じたきめ細かな指導 A活躍する場面が多く、積極性や自主性が育つ B地域住民との交流が進めやすい C地域住民に大切にされ育つ傾向 は、それぞれに小規模校・少人数学級の教育条件だからこそ実現が促進される教育的価値であり、子どもの権利です。教育委員会には、小規模校という教育条件を壊せば、4点の教育的価値が子どもから奪われる、ゆったりとした教育環境で成長する子どもの権利が奪われるという重要な観点が欠落しています。
鼓阪小学校の「令和4年度『学校評価アンケート』結果のお知らせ」が、同校ホームページに掲載されていますが、保護者アンケートでは「学校は地域と連携して教育を進めようとしている」の項目の肯定的評価が最も高く(95%)、「東大寺への菜種奉納など、引き続き文化遺産の豊富な地域を活かした学校活動を期待する」という自由記述も紹介されています。また、児童アンケートでは「校外に出かけた地域の人と一緒に活動したりする学習は楽しい」の項目の肯定的評価が最も高い(97%)です。この結果にも示されているように、地域の歴史的文化遺産を調べ、地域の人々との交流を大切にしてきた鼓阪小学校の教育実践は尊いものであると考えます。

文科省のこの間の調査では、全国の小学校の半数が、文科省が定義する過小規模校ですが、これらの学校が教育効果を十分にあげられていないというのでしょうか。いじめ・不登校など教育の困難が増大している今日、小規模校の利点を生かすことが、教育改革全体の課題として見直されるべきです。 鼓阪小学校の存続へ、小規模特認校制度の導入をどれだけ真剣に検討したのか、教育委員会の検討過程も大変不透明です。他市では同制度のもとで、小規模校の利点、魅力、効果を求めて、入学者が増える事例が注目されています。本市で令和2年度から導入している田原小中学校の小規模特認校制度についても、奈良市の広報努力も含め、教育委員会の本気度が問われています。
鼓阪小学校統廃合の当事者である児童を、統廃合計画の蚊帳の外に置くのではなく、児童の意見を聞くことがきわめて大事です。また、近年ではICTを活用して学校と学校を横につなぐ教育活動もすすんでいます。
鼓阪小学校は、小規模校という利点をもつ教育環境だけでなく、奈良が誇る世界遺産「古都奈良の文化財」に登録されている東大寺旧境内にあり、世界遺産の中で児童が学べる公立小学校として世界的にも稀有な学校であり、四季折々の豊かな自然に囲まれた教育環境は唯一無二であり、学校と地域を相乗的に発展させられる豊かなポテンシャルを有しています。寺子屋に起源をもつ奥深い歴史をもち、地域に根差す鼓阪小学校の歴史を断ち切り、「統廃合先にありき」のやり方は、子どもを犠牲にする行政・政治暴力というべきです。計画を撤回、少なくとも凍結し、関係者と徹底した議論を行うことが強く求められます。

 先日の予算決算委員会において、わが党から、新年度一般会計予算案に関し、一部事業に係る歳出予算を減額し、そのうち一般財源に当たる部分を高齢者福祉に係る事業の財源に充てるため、6,697万3千円を組み替えるべきと予算組み替え動議を提案しました。そのなかで、鼓阪小学校の統廃合計画を強行しようとするところにもあらわれている、市民の正当な訴えや声をきかず、市の計画を一方的にふりかざす行政姿勢を改めることを厳しく求めました。賛成少数で否決となったことはきわめて残念ですが、市民の正当な声をきかず、市民の命を守る行政の責務が果たされていないことが明らかな鼓阪小学校統廃合計画を強行するための関係予算は、減額修正することが、市議会としてのせめてもの責任であると考えます。
 議員各位のご賛同を賜りますよう、よろしくお願い致します。