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トップページ - 制策・提案 - 3月22日、2023年3月議会 討論
政策と提案
2023/3/22更新
2023年3月議会 討論
2023年3月22日
 
山口裕司


2023年3月議会 討論(2023/3/22)

  私は、日本共産党奈良市会議員団を代表し討論を行います。
議案第15号 令和5年度奈良市一般会計予算
議案第17号 令和5年度奈良市国民健康保険特別会計予算
議案第19号 令和5年度奈良市介護保険特別会計予算
議案第21号 令和5年度後期高齢者医療特別会計予算
議案第30号 奈良市児童福祉施設の設備及び運営に関する基準を定める条例等の一部改正について
の5議案に反対します。議案第15号の修正案には賛成します。理由は提案の趣旨を会派の北村議員が行いましたので省略します。

また
議案第24号 令和5年度奈良市下水道事業会計予算
議案第27号 奈良市職員の退職手当に関する条例の一部改正について
議案第31号 奈良市子ども医療費の助成に関する条例の一部改正について
議案第34号 奈良市国民健康保険条例の一部改正について
議案第44号から議案第57号までの公の施設の指定管理の指定について
の14議案、以上合計18議案については意見を附して賛成します。

以下、反対する理由を述べます。

○議案第15号についてです。
  一般会計で1449億8千万円、対前年度比113億6千万円、8.2%増と過去最大規模の予算として提案されました。子どもや若者への支援とともに新たな創造や変革で社会課題を解決する取り組みに重点をおき編成した未来投資型予算とされています。
  子ども医療費助成の拡大、第2子保育料無償化、新生児聴覚検査助成、就学援助の拡大など市民がこれまで切実に望んできたことが反映されている点がありますが、長引くコロナ禍と物価高騰で、今現在苦しんでいる市民の生活や、人口比で3割を超える高齢者の生活を応援する点については見えてきません。また今後も感染が懸念されるコロナ対策は国の方向に合わせ縮小されています。
  その一方で、マイナンバーカードの普及と一体に行政のデジタル化は推進されています。市民の暮らしに役立つデジタル化は歓迎しますが、国がすすめる行政デジタル化は、行政が保有する市民の個人情報を企業の利益のために利活用する道を広げることに目的があることを改めて指摘します。
  また大阪・関西万博についても、本市として波及効果を期待するとして関連予算や本庁舎南側の広場整備事業予算も計上されましたが、市民の暮らしがコロナ禍と物価高騰で大変な時に、推進するのか問われています。今、力を入れるべきは市民の暮らしを応援することこそ必要です。
  また子育て重視と言いながら、それに逆行する点もあります。
  鼓阪小学校を廃校にして佐保小学校に統合する計画を、住民や保護者、卒業生に理解や納得もないまま推し進める関連経費が計上されています。鼓阪小学校の存続を求める声が広がっている中で「統廃合先にありき」の強引なやり方は大問題です。撤回を求めます。
幼保再編・民間移管に関する予算についてです。先般、三笠保育園の民間移管の方針が示され、これで、計画に上がっていない市立保育園は都南保育園のみとなっています。奈良市幼保再編計画・実施計画のもと、これまで15の幼稚園と保育園1園が閉園となり、募集中・検討中も含め、13園の市立幼保施設が民間移管となっています。
幼保再編・民間移管は、その節々で保護者や関係者から反対の声もあがっており、必ずしも、市民の理解を得て進められたものではありません。 また、民間移管された園では、独自の保育メニューが有償で行われていますが、所得が厳しい家庭に対する支援はなく、これではますます格差を拡大することとなってしまいます。
こ れまで、幼保再編・民間移管についていったん立ち止まり検証することもなく、さらに削減を進めることは、奈良市の保育責任を投げ捨てるものです。 いま、医療的ケアを必要とする子どもや配慮を要する子どもへの保育をどう保証していくのかが全国的な課題にもなっています。全ての子どもが等しく保育を受けられる権利を保障していくためにも、公立園の役割が求められており、削減ではなく、拡充こそ必要です。
  地方自治体の一番の役割は、「住民福祉の増進」にあり、市民の暮らしと福祉をよくすることにあります。国の悪政に自治体が従い、国の出先機関となるのではなく、地方自治体の精神を生かし、悪政の防波堤になって独自の支援を強めることや、住民の意思を無視した行政でなく、住民の声や思いを受け止めた、地方自治と民主主義を生かす行政姿勢が求められます。
以上の点を指摘し、一般会計予算は、コロナ禍や物価高騰で苦しむ市民の暮らしを十分に応援する予算になっておらず反対します。

○議案第17号、議案第19号、議案第21号についてです。

  国民健康保険、介護保険、後期高齢医療の特別会計予算です。これらの予算も、コロナ禍と物価高騰の影響で市民生活が大変な中で、「高くて払えない」保険料の負担を軽減するのでなく保険料の負担増につながる予算となっています。
国民健康保険については、令和6年度の奈良県全体での統一化にむけて、国保料をこの間、平成30年度より毎年引き上げてきました。令和4年度の保険料は平成29年と比べても、3.5%も保険料が上がっています。さらに来年度の保険料についても質疑を通じ1.4%の引き上げが明らかになりました。国保加入者が県全体の4分の1を占める奈良市が動けば、県に影響を与えることになります。高すぎる国保料の引き下げに奈良市全体で取り組むことこそ必要です。

介護保険制度に関しては、保険料は改定のたびに上がり、現在の8期では制度開始当初の2倍を超える保険料となっています。我が党の質問に「急激な増加をさけるため基金の活用「も」検討」との答弁でした。次期計画では保険料は増額も見込まれています。保険料引き下げのために基金の活用、国に対して国庫負担の増額を求めるなど、だれもが安心して介護を受けられる介護保険制度になるよう市として努力することが必要です。
後期高齢者医療保険についてです。年金削減や医療費の自己負担額の引き上げが昨年行われ、高齢者の生活を圧迫しています。後期高齢者医療保険は広域連合での運用ですが、国・県言いなりでなく、高齢者のいのちや健康を守る立場から、保険料負担の軽減を含めた制度改善に努力することが必要です。
○議案第30号についてです。

今回の条例改正は、省令によるものではあるものの、みなし保育士の配置の基準緩和で、背景には保育士のなり手不足があり、本来であれば保育士の処遇改善により、正規の保育士を増やし、保育の質を向上させる取り組みこそ必要です。

以上が、反対する議案の反対理由です。次に、意見を附して賛成する議案です。

○議案第24号についてです。
本市の下水道予算には奈良県の流域下水道事業に対する建設負担金及び維持管理負担金が計上されています。しかし県の同事業には3つの問題があり、負担金の支出にあたって是正を求める必要があると考えます。 第一に、県の一般会計からの繰り入れが基準よりはるかに少ない額となっており、市町村にその不足分の負担を押し付けていること、第2に建設負担金ついては、国庫補助を差し引いた残りを市町村2分の1、県2分の1としているところ、宇陀川流域のみ宇陀市8分の1、県8分の7としていること、第3に、維持管理負担金について、減価償却費と企業債償還を合わせた資本費全額を入れた単価設定を行い、市町村に負担させていることです。
従って、本来、負担すべきでない負担を強いられていることから、これらを是正するためのルールを作ること、県と関係市町村が対等な立場で基本協定書が締結できるよう強く働きかけることを求めます。

○議案第27号についてです。
この議案は、フルタイム会計年度任用職員に対し、退職手当を支給することができるようにする条例改正です。この制度が始まり3年になりますが、自治体に働く非正規職員のワーキングプア問題として全国的にも処遇改善が緊急の課題になっています。今回の改正はそのような中で一定の処遇改善と評価しますが、本市に働く会計年度任用職員も多くがフルタイムでなくパートタイム職員で、年収200万円以下、最低賃金をわずかに1円上回るだけの時給の職員もいます。年々、会計年度任用職員が果たす役割は大きくなっているもとで、引き続き、すべての会計年度任用職員の処遇改善に取り組まれるよう求めます。

○議案第31号についてです。
 これは、子どもに対する医療費の助成対象を令和5年4月1日から18歳までに拡大することに伴い、社会保険等に加入する子どもを養育する者および養育者がいない子ども等を、対象者に加えようとするものです。
 市民や関係者の運動が原動力となり、わが党も制度拡充へ力をあわせ、議会内外で一貫してとりくむなかで、子ども医療費など福祉医療の拡充へ奈良市が踏み出したことが、県下自治体にも影響を与え、子ども医療費助成制度が18歳まで拡大する動きが市町村に広がり、奈良県も補助対象を拡大する見通しとなりました。今回の条例改正も、制度を拡充させるもので重要です。子ども医療費助成は、国の制度化とともに、18歳までの窓口完全無料化実現が市民の切実な願いであり、わが党も引き続き力を尽くします。

○議案第34号についてです。
この議案は、保険料の減免の対象となる所得について引きあがることになり、減免対象が広がります。その一方で賦課限度額の上限が引き上げとなるため、国保料の負担がさらに大きくなる事になります。減免対象が広がる点を重視し賛成しますが、国庫負担の増額を国に対して求めるなど、保険料が上がらないよう市としての取り組みを求めます。

○議案第44号から議案第57号についてです。
公の施設の指定管理者についての議案です。この中には、西部会館市民ホールや北部会館市民文化ホールなど文化施設を奈良市総合財団が行ってきた指定管理を同じ建物内で指定管理している、社会福祉協議会や生涯学習財団に統合して、指定管理を行おうとするものも含まれています。 これまで管理してきた指定管理者から、趣旨や目的が違う団体に統合することで、これまで行ってきたその施設の本来の役割が果たせるのかどうかが問われています。
また統合して指定管理者が変わったからといっても文化施設にある付帯整備の扱いや管理などは、外部委託することに変わりないので、果たしてそれが、効率化に繋がるものかどうかわかりません。
また従来は、指定管理期間が3年から5年であったものが、1年に短縮されました。このような変更の背景に「新たな行財政改革」の推進があります。今回の指定管理者の見直しが市民サービスの低下につながることにならないよう求めます。

以上で討論を終わります。