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政策と提案
2023/3/17更新
予算組み替え動議提案 趣旨説明
2023年3月17日
 
日本共産党奈良市会議員団


予算決算委員会 予算組み替え動議提案 趣旨説明(2023年3月17日)
 

 私より、「議案第15号 令和5年度奈良市一般会計予算」の組み替えを求める動議の提案趣旨につきまして、説明をさせていただきます。

 コロナ禍の長期化、長期の経済低迷が続く下での物価高騰で、市民の暮らしの困難がいっそう深刻になろうとしています。市民生活の悪化が続くにもかかわらず、新型コロナ交付金を打ち切るなど、国の支援が不十分な下で、新年度予算は何よりも、市民生活応援を最優先にするものでなければなりません。

 今定例会に提案されている一般会計予算は、過去最大規模の対前年度比113億6,000万円増の1,499億8,000万円となり、奈良市の未来を担う子育て世代や若者への支援や、「新たな創造や変革」で社会課題を解決する取組に重点を置いて編成したとされ、子ども医療費助成の拡大や第2子の保育料無償化、新生児聴覚検査助成、就学援助の対象拡大など、わが党も要望してきた切実な願いが一定反映された内容もある一方、リニア中央新幹線中間駅誘致事業には聖域のように予算計上が続いています。
同事業には、2012年のリニア推進室設置以降毎年経費が計上され、新年度予算も含めれば9,600万円を超える莫大な費用が予算化されています。リニア事業は大深度地下でのシールドマシンを使った工事で事故が相次ぎ、シールド工法が技術的に未確立な中で工事が強行されていることに加え、過大な需要見通し、大井川の水枯れ問題、残土処理問題、テレワーク等の普及による住まい方・働き方の変化、既存新幹線の4倍もの電力を消費するエネルギーの浪費など、リニア本体の建設工事や事業が大きく行き詰まっています。リニア事業とともに中間駅誘致事業は中止すべきです。 令和4年度に続き、新年度予算にも万博連携事業経費や関連経費が予算化されています。大阪・関西万博開催には歓迎の声とともに、「なぜ万博がIR(カジノ)とセットになって推し進められているのか」「今後、巨額の住民負担が待ち受けているのではないか」など懸念の声が強まっています。人工島・夢洲は交通アクセスが悪くインフラ整備が必要で、建築資材高騰の影響も考慮すれば開催地として不適格であることなど、様々な議論も起きています。万博の波及効果などを期待し多額の関係経費が計上されていることに対し、本日の質疑でも、費用の妥当性について疑問視する意見がありましたが、深刻な物価高騰などで市民の暮らしが脅かされている今、こうした予算を優先させるのではなく、市民生活応援こそ優先させるべきです。

 議員の議会質問に対する理事者間の答弁調整をシステム化する費用が計上されていますが、わが党の質疑を通じ、様々なシステム上の課題も明らかとなり、今急いで導入する必要はありません。
 地方自治体の一番の役割は、地方自治法にあるとおり「住民の福祉の増進」にあり、市民の暮らしと福祉を良くすることにあります。国の悪政に自治体が従い、国の出先機関となるのではなく、地方自治体の精神を生かし、悪政の防波堤になって独自の支援を強めることや、住民の意思を無視した行政ではなく、住民の声や思いを受け止めた、地方自治と民主主義を生かす行政姿勢が求められます。 新年度予算案は、「未来投資型予算」と銘打たれ、「子どもの成長を応援するまち」「学生・若者が活躍するまち」「DXで暮らしをアップデートするまち」などの5つの柱で構成されています。主要施策の新規・継続事業には子供に焦点を当てた施策が並び、例えば、子ども医療費助成の対象年齢や現物給付化の市独自の拡充など、国の制度がない下でも市が役割を果たし、施策化されているものもある一方、人口の3割を超える高齢者の生活を応援する施策は極めて不十分です。主要施策に高齢者施策が乏しいとの指摘は、本日の質疑でも相次ぎました。 今、加齢に伴う認知機能の低下と加齢性難聴との関連が浮き彫りになり、補聴器購入の助成を求める声の高まりを受け、国の制度がない中、独自に助成する自治体が広がり、本市でも助成を求める市民運動が進んでいます。しかし、奈良市は独自助成に背を向けたままで、子ども施策への市の対応とはきわめて対照的です。市が所管する高齢者施設のハード面の改修もほとんど進んでいません。
 奈良市は、鼓阪小学校を廃校にして佐保小学校に統合する計画を、鼓阪地区住民や保護者、卒業生の理解も納得もないまま、鼓阪地区から通う子供に強いる身体的精神的負担、交通事故に遭う危険、命を脅かす危険が生まれるということを知りながら、子どもを犠牲にして強行しようとしており、新年度予算に関係費用を計上しています。
鼓阪小学校の存続を求める要望署名は短期間の内に3,670筆に達し、現在もさらに広がっています。市の「統廃合先にありき」のやり方は、子どもを犠牲にする行政・政治暴力というべきであり、計画を撤回、少なくとも凍結し、関係者と徹底した議論を行うことが必要です。  本庁舎南側広場整備事業の関係予算も盛り込まれていますが、市民のための市役所の広場整備に関わる事業でありながら、これまでの経過の中で、同事業に市民の声が反映されているのか不明です。市民の暮らしが大変なときに、急ぎ整備する必要性が疑問視されており、市民の声を反映させるプロセスも不十分と言わねばなりません。
 市民の正当な訴えや声を聴かず、市の計画を一方的に押しつける行政姿勢は改めることが求められるとともに、コロナ禍と物価高騰に苦しむ市民が広がり、高齢者の孤立や生活悪化も深刻化している下で、「住民の福祉の増進」という自治体の責務に照らし、「高齢者とともに歩むまち奈良」宣言をしている自治体として、高齢者の活動施設の修繕を充実させたり、切実な願いとなっている加齢性難聴補聴器購入の補助を市が導入するための調査など、取組を前進させるための経費を増額することが必要です。  以上のことから、一部事業に係る歳出予算を減額し、そのうち一般財源に当たる部分を高齢者福祉に係る事業の財源に充てるため、以下のとおり6,697万3千円を組み替えるべきと考えます。

その内容としまして、組み替え動議提案文書(別紙)にありますとおり、総務費のうち2億2,931万3千円を減額、教育費のうち4億1,500万円を減額し、民生費を6,697万3千円増額する組み替え動議を提出するものです。  なお、総務費のうち、市債1億3千万円および寄附金3,234万円を、また教育費のうち、市債4億1,500万円を、歳入から減額することとして提案するものです。

 議員各位のご賛同を賜りますよう、よろしくお願い致します。