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政策と提案
2019/06/25 更新
6月議会に提出された議案及び諮問について6月23日、討論をおこないました。

2019年6月定例会 討論原稿

2019年6月23日 山本直子

日本共産党奈良市会議員団の山本直子です。
私は会派を代表し、ただいま上程されている議案について討論を行います。
はじめに
議案第56号 市長専決処分の報告及び承認を求めることについて
第57号 市長専決処分の報告及び承認を求めることについて
第64号 奈良市行政財産使用料条例等の一部改正について
第66号 奈良市税条例等の一部改正について
第67号 奈良市児童館条例の一部改正について
第79号 奈良市下水道条例及び奈良市農業集落排水処理施設条例の一部を改正する条例の一部改正について
の6議案にはを反対します。

また、
議案第58号 市長専決処分の報告及び承認を求めることについて
第59号 令和元年度奈良市一般会計補正予算(第1号)
第63号 奈良市森林活性化推進基金条例の制定について
第77号 令和元年度奈良市一般会計補正予算(第2号)
の4議案には意見をつけて賛成し、
残余の議案には賛成します。

以下、理由を述べます。
議案第56号、57号、64号、66号、79号についてです。
これらはいずれも本年10月に予定されている消費税増税にともない、水道、下水、市立病院の保険外療養費、診断書料などの消費税を10%に引き上げる内容の条例改正です。景気悪化を政府自身が認めている中でこれらの条例改正はますます市民の暮らしの悪化をまねくもので賛成できません。
また、住宅ローン控除の拡充や、介護保険料の軽減措置を強化するものなど、いわゆる増税に対する経済対策と称される条例改正もありますが、経済対策としての期限が区切られているものが多く、対象も限定されているなど、一時的な効果しか生み出しません。結局、消費税の増税による負担が市民の家計を圧迫します。
以上のことから、これらの議案に反対するとともに、代表質問や補正予算等審査特別委員会でも主張したとおり、

  1. 最低賃金の大幅引き上げや残業規制など8時間働けば普通に暮らせる社会に切りかえること
  2. 高くて払えない国保料の引き下げや減らない年金の実現など暮らしを支える社会保障に切りかえること
  3. お金の心配なく子育てできる社会にすること

などで、暮らしを応援し、内需を拡大することこそ真の経済対策につながると改めて主張いたします。

次に、
議案第67号ついてです。
そもそも児童館は、「子どもたちの集団での遊びや地域での多様な体験活動の機会が減少し、子ども時代に遊びを通して獲得すべき自主性や社会性、創造性等発達課題が十分に得られない状況があった」とされ、実施されてきたものです。
その理念に照らしてみると、児童館がこれまで果たしてきた役割、そして今後もこの児童館がさらに子どもたちの拠点・居場所づくりとして、子どもの発達課題を考えていく上においても、重要な役割を発揮していかなければならないと考えます。
 先日の補正予算等特別委員会の質疑において、わが党の井上議員の質問に「効率的な運営には、民間の持つ知識や経験などを十分に活用することで、また、運営の柔軟性により、サービスの向上も期待できることから、指定管理者制度の導入を検討している」と、答弁されましたが、昨年8月の第2回奈良市財政改革重点取組項目懇話会で奈良市自身が提出した資料には、「児童館、バンビーホーム、図書館については、民間委託の問題点も鑑み、効果的な直営での運営方式を継続的に検討している」との記述があり、“効果的な直営を継続させる”と自ら評価しながら、指定管理者制度を導入することは矛盾しており問題です。

次に、議案第58号、59号、63号、77号についての意見を述べます。
まず、議案第58号についてと、議案第77号についてです。
 議案第58号は、本市が、平成13年7月26日付けで旧都祁村と株式会社三興等で締結された「針テラス事業に係る事業契約」について、平成30年12月21日付けで契約解除したことに伴い、株式会社三興破産管財人に対し、針テラス南館の建物収去土地明け渡しを求める訴えの提起をしたことについて、市長専決処分の報告および承認をもとめる案件です。
また、議案第77号はそのことに関連して、針テラス南館建物を本市が取得することをめざして、予算措置しようとするものです。
 この間、奈良市の承諾のないまま針テラス北館建物が第三者へ無断譲渡されたり、北館、南館建物へ抵当権が市に無断で設定され、南館建物の抵当権から競売の申し立てが行われるなどが起き、三興等との契約を解除しましたが、建物が奈良市に帰属していないなど、今後の見通しは大変不透明です。
 もともとこの事業契約は、平成17年4月から、奈良市と都祁村の合併に伴って奈良市が承継したものではありますが、賃料改定が10年ごとになっているにも関わらず、三興は4年目に、早くも土地使用料軽減等の申し出を行い、その後も同様の求めをしているほか、平成29年11月分以降の土地使用料は未納となっているなど、憂慮すべき状況が続いていました。
 平成29年度の包括外部監査でも「経営状況や能力を十分に評価し、事業委託先を切り替える、事業自体の存廃も検討すべきだった」などの厳しい指摘がされています。
 事業者の経営状況や能力について、奈良市のモニタリングや評価がきちんとされていなかったこと、また、同事業は民間資金を活用して行うPFI的な事業として行われていますが、そのことへの根本的な総括がなされないまま推移しているところにも、今日の事態を招く原因があったのではないかと考えます。
 今後、事業手法の検証も含めた総括をしっかり行うとともに、一刻も早い事業正常化をめざして、今後の進捗について情報を開示し、問題の解決へ本市が万全をつくすことを強く求めるものです。

 

次に、議案第59号ついてです。
築42年の本庁舎について32億円かけ、耐震改修と長寿命化工事をすればあと30年は使えることが見通せる以上、現地建て替えで百億円、移転建て替えで200億円もかけることに市民の理解は得られないと考えます。仮に200億円かけて移転建て替えをした場合、約17億円の資産価値の放棄、18億円の売却損が生じるおそれがあります。またこれまでつぎ込んできた耐震改修のための基本構想策定や実施設計費など8千万円が水泡に帰すことになります。また多額の起債は本市財政に大きな影響を与えます。
 しかも今の時点での耐震改修から建て替えへの方針転換では公共施設等適正管理推進債の実施設計着手に間に合わない可能性が大であり、さらに財政負担がのしかかります。
 市庁舎のありかたは市民の利便性と職員の執務環境の維持向上を図ることを基準に考えれば、最寄りの駅からさらに遠くなる移転案は問題があります。
 今後は長寿命化の追加対策が必要となればその対策をとること、工事の安全管理、仮設計画と工程など、居ながら工事の基本問題について速やかに議会に提示すること、窓口環境についても市民の市役所内での動線に見合ったレイアウトに見直すこと、基金創設など、次期の建て替えを見越した構想を準備することなどを求めるものです。
 この議案第59号について、先ほど修正案が提出されていますが、耐震化予算が全額カットされた修正案となっています。災害に対する耐震化は緊急性のある課題であることから、提出されている修正案には賛成できません。

次に、第63号及び議案第59号の関係する部分についてです。
 今回創設されようとしている「森林活性化基金」は、森林環境税を原資とした森林環境譲与税を財源としています。
 また議案第59号の補正予算には、森林所有者の意向を確認する調査費や、三笠保育園の一部木質化改修費用などが、盛りこまれており、森林所有者の意向を確認したり、木の持つ温かみを体感したり、奈良市産の木材をアピールする機会があることは、良いことだと思います。
 しかし「森林環境税」は、2023年度末で期限切れとなる復興特別住民税の看板だけを掛け替えて取り続けようとするものです。
国民個人には、所得に対して非課税であっても一律千円の負担を強いるもので、低所得者には負担の重い税制であるのに対し、法人については、個人と同様の森林の恩恵を受けているにもかかわらず企業負担がない制度となっていることは問題です。またこれは、地球温暖化対策とも矛盾をする制度であると、我が党は国会で問題点を指摘しました。
 そもそも、放置林の増加の背景には、1964年の木材の全面輸入自由化により、安い外国産材に押され、国内の林業が立ちゆかなくなった事にあります。個人から徴収した税金で自治体に森林の管理をさせるのではなく、林業の復興とそれを後押しする政策の実行こそ今、国がすべき責務であり、山林を多く抱える奈良市としても国に対して要求すべきと考えます。
 しかし、交付が決定している現状においては、本市の森林環境保全に向け、人材育成等、効果的な施策の実施に向け、明確な方針を打ち出すよう要望致します。

以上、討論とします。