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政策と提案
2010/10/30 更新
かけがえのない日本共産党市議団の役割

 奈良市の藤原市長は3月議会途中で、次期市長選挙に立候補しないことを表明しました。直接の動機は、ホテル誘致の失敗だと言われていますが、果たしてそれだけでしょうか。私たち議員団は、基本的にはこれまですすめてきた市政が破綻したと見ています。

1.大混乱の3月議会
 「3月議会で出馬表明」という大方の予想に反したこの突然の不出馬表明は、市長提出の新規事業を凍結するとかしないとかで、またホテル予定地の産廃処分の経費をめぐって、補正予算を通す通さないで混乱し、市長と取り巻きの政策監だけですすめていたホテル誘致だっただけに、補正予算も予算委員会に付託し、市長が予算委員会に断続的に出席するといった異例ずくめの議会となりました。

 ホテル誘致について我が党は、この不況のときにしかも資金調達の目途が立っていない中で、拙速を避け慎重にすすめるよう再三求めてきましたが、何が何でも遷都祭までに開業させると突っ走った市長の姿勢が裏目に出て結局、自ら幕を引く形になりました。
 その結果、20年度の補正予算として提案した石炭ガラなど産廃の処理費用は議会が修正をかけて取り下げ、ホテル用地の買戻しは6月議会に補正予算で対応することになりました。
 こうしたゴタゴタヲを招いたものは何だったのか、ここで藤原市政の4年間を振り返ってみたいと思います。

破綻した藤原奈良市政・・・求められる暮らし教育守る市政への転換

2.藤原市政の4年間・・・「受益者負担の原則」で行革断行・・福祉から教育まで
 藤原市長は就任後間もなく都市経営戦略会議という、いわゆる市長の諮問機関を設置し、「民間で出来ることは民間で」、「市役所にも経営感覚が必要」といったいわゆる新自由主義改革にもとづいて、行財政改革を展開し、同時に市役所の組織では部長の上に3名の政策監を置き、トップダウンで市政をすすめてきました。
 市民には「お金がない」ことを強調し「受益者負担の原則」だといって、行財政改革の目玉にあげたのがシルバーパスでした。市議会の特別委員会で述べられた参考人の意見はことごとく制度の継続を求めるものでしたが、こうした意見は全く無視して、しかもわざわざ臨時議会を開いて改悪を強行するといった強引さです。

 また小学校の給食調理員の民間委託は、手始めにと7校で実施し、人件費が7割に削減されたと評価しています。
 公民館の有料化は年間4千万円ほどの収入を予定して昨年10月から有料化しましたが、減免対象は利用者の14%程度にとどまっています。有料化されてから利用しにくくなったと言う声が広がっています。
 さらに「行革」の一環として出されてきた側面の強い「学校規模適正化計画」は、国の教育改革の動きとも相まって、今後10年間かけて小・中学校の統廃合を中心として、幼少連携、幼保一体、小中一貫教育等の方向を打ち出し、学校関係者や地域住民の充分な理解や納得のない中ですすめられているため、不安や戸惑いも出てきています。その上すでにごみ有料化の審議会答申が出されました。

 前回の市長選挙で我が党が唯一応援の理由とした「不正をなくす」という点では、病気休暇職員問題を契機に、職員の中抜けややみ専従、同和の不公正などが大きく是正されましたが、これはわたしたち議員団やマスコミの追及と市民の怒りの声が後押しをしたものですし、私たちが、税金未払い問題を契機に公益通報者(内部告発者)を保護する条例の制定を求めましたが、これも内部の処理基準をつくっただけで、議会での再三の追及でようやく通報を検討する組織に外部委員として弁護士を1名入れるといった消極的な姿勢です。

 こうした処理基準は職員間の監視を強め、逆に不団結を生むことになりかねず、これではトップの不正をなくすことはできません。ちなみに現在年間の通報件数は10件程度です。
 市長がマニュフェストにも掲げた「市民参加」は地域の力を活用するといいながら、本当の意味での市民参加の手立てをとらず、自治会とかボランティアの協力で市役所の仕事を下請けさせるといった形の市民参加になっています。バンビーホームの時間延長も、わずかな予算を付けずに地域の協力を得ようとしたために、結局は指導員の犠牲の上で乗り切ったと言うところに象徴的に現れています。

3.街づくりの名ですすむ街こわし
 街づくりの点ではどうでしょうか。「行革」の一環として市内の市営プールを2つとも廃止する方針を打ち出し、市長自身が「奈良のシンボルロード」と銘打つ三条通り商店街の道路拡幅(JR奈良駅からやすらぎの道まで)も当初、半数近い個人地権者の反対を押し切って、何が何でも遷都祭までにと工事を急がせてきました。
 「これでは奈良らしさがなくなる」と多くの市民が嘆いていますし、地権者は「商店街がすたれる」と反対の声をあげています。

 また保健所などの複合施設に加えホテルが建設されると、奈良の景観破壊がすすみ、JR奈良線の高架や京奈和道のアクセス道路などで、街のコンクリート化がいっそうすすみます。
 さらに京奈和・大和北道路や遷都祭、国営公園化による世界遺産・平城宮跡破壊と地域住民の居住権破壊の恐れが広がっている上に、荒井県政の近鉄線地下化も具体化しつつありますが、世界遺産を守る立場で国や県にものを言う姿勢はありません。
 こうした街づくりの名の下にすすめられる街壊しに、心を痛めておられる方も少なくありません。

4.「箱物市政」と議会内部からも
「お金がない」中でも公共事業には熱心
 藤原市長は「お金がない」中でも公共事業には熱心で、年々膨らむ合併関連の建設事業も見直すように議会で求めましたが、「かねてからの懸案事項だ」と推進の姿勢を崩しません。
 その上に、近鉄不動産の住宅開発に合わせたあやめ池駅前広場の整備や、その開発区間の道路拡幅、三条通り商店街の拡幅、JR奈良駅前の整備など、市の基本計画にない事業まで次々と進めてきました。

 議会の各会派からも「箱物優先だ」と批判の声
 こうした市政に対して議会の各会派からも「箱物優先だ」と批判の声が湧き出し、あやめ池遊園地跡地(近鉄の住宅開発地)に計画していた(仮)文化芸術情報館は、現在「凍結」状態になっています。

 また政策監(3名のうち2名は外部から招いて)をトップにすえたことで、有能な幹部職員の力を引き出すと言う点では、決して充分とは言えず、むしろやる気を削いだという点は否めませんし、プロポーザルなど新しい契約方式の導入や、検討委員会を次々設置して政策を打ち出す手法は、議会との関係についても充分な意思疎通が図られず、「議会軽視」の声も度々噴出し混乱を招く原因のひとつになったことは事実です。

 貧困、不況で市民が大変なときこそ問われる市の姿勢
 これまでの国の構造改革の政治の下で市民の中にも格差と貧困化がすすみ、その上100年に一度と言われる経済不況が拍車をかけ、暮らしは大変です。

 このときに市役所は何が出来るのか、何をすべきなのかが、いま問われていると思います。
 最近、「藤原市長は市民の暮らしのことはわからない」とささやかれるようになっていましたが、「行革」で市民の負担を増やして生活を壊し、街づくりで「奈良の街を壊す」こうした市政が市民に評価されなくなってきていたことは事実です。

新年度予算に見る藤原市政の特徴

奈良市はお金がないはずなのに、前年度に比べて5%増の、過去最高1236億円の予算を組みました。経常収支比率は99.5%と財政運営が大変で、国の経済対策で出てきた交付金も、あちこちに分けて使ってしまいこれといった目玉がありませんし、基金の取り崩しや借金を増やし、市有地売却を当て込み、何とか歳入を確保する予算です。

 借金を増やして公共事業に集中投資
 歳出では複合施設の入った衛生費を除くと、土木費が突出しておりその多くが借金です。藤原市長は「これらは懸案の事業だ」と言いますが、新市建設事業が当初予定の217億円を大きく上回り298億円と膨らんでいる上に、三条通り商店街の拡幅に12億円、あやめ池駅前広場の整備と道路の拡幅に3億円JR奈良駅周辺整備など急に出てきたものも多く、借金は昨年度に比べて75億円増え財政再建どころではありません。とくに遷都祭までにと借金で公共事業に集中的に投資するやり方は理解できません。

 共産党議員団としてこれまで新市建設計画の見直しを求めてきましたが、市長は「合併時に協議されていること」と否定しました。
 そして一方、市税や国保料の取立てをきびしくし、公民館の有料化、シルバーパスの改悪、次はごみの有料化と市民負担を引き上げる。ゴミ袋の有料化は、標準的な家庭で年間7千円以上の増、市全体としては年間9億円の収入増になります。

なんとしても元にもどして!
 高齢者の切実で強い声がくりかえし市受所にとどけられています(2月16日)

下水道料金の値上げは来年度からの計画で、年間7億円の収入を見込んでいますが、これでは暮らしは大変になり、消費税増税などとも相まって、市民の将来不安は増すばかりです。

 また遷都祭も、8億7千万円の予算で半分の4億円は、県の振興基金を借りるという借金です。
 しかも市長は予算の提案説明で、「遷都祭を一過性のイベントに終わらせないために」と3回も繰り返しました。これは一過性に終わる可能性が極めて高いという裏返しです。そのイベントに借金をしてまでお金を出します。


求められる地域経済の活性化には福祉、くらし応援の対策こそ
 いま地域経済の活性化が求められていますが、一般に公共事業よりも福祉や暮らしを充実させる方が経済効果や雇用効果が大きいと言われています。しかし雇用対策で国の補助がついても、バラマキの形でまとまった雇用対策にはなっていません。
 現に学校現場から出ている修繕の要望は430箇所もありますが、そのうち予算化されたのは1割にもなりません。学校輝きプランも8千万円全額削除されました。
 教育予算は実に10年前の半分になっています。こうしたところの予算こそ必要です。ただ学校の耐震補強工事は3年間で完了する計画になりました。国の補助制度改善に合わせ、市民の要求が実現したもので大きな前進です。

 シルバーパスも今回の改悪で、街に出かけるお年寄りが35%も減っています。市内のお風呂屋さんが2軒廃業しました。国保料も高くて払えない。こうしたところに税金を使う方が地域の業者に仕事が回り、経済の活性化にも役立ちます。暮らし優先の予算に切り替えるべきです。

 安全・安心の面では、国の道州制の動きにあわせ、県下一本の消防広域化がすすめられています。奈良市は人口30万人以上で、広域化の対象外にもかかわらず、県の設置した協議会に参加し協議を進めていますが、これまでの議論で明らかになったところでは、本来の意味での消防力の強化にはつながらず、これまでの消防や救急の水準を維持できない可能性もあり、消防内部からも批判の声が出ています。
 

暮らしや教育守り、世界遺産生かした文化の香り高い奈良に

市民の運動と結んで数々の願い実現
 前回の市長選挙で、日本共産党は「不正をなくす」という一点で藤原候補を応援し、藤原市政誕生に大きく貢献しました。そしてこの4年間、議会では是々非々の立場を貫き、市民の暮らしや教育を守るために多くの市民団体と共同行動を重ね、議会で奮闘する中で数多くの要求を実現してきました。
 病休職員問題を契機にした同和問題の追及は、個人給付的事業の廃止など多くの点で解決を見ることができましたし、その財源を教育に回し小学校1.2年生と幼稚園に30人学級が導入されました。一昨年秋からとりくんだ国保料引き下げの運動は、奈良市に1万を大きく超える署名を提出し、これが力になってわずかとはいえ、これまで初めて一般会計から法定外の2億円の繰り入れを実現しました。子育てでは、小学校入学前まで子どもの医療費が無料になり、妊産婦検診の公費負担は14回まで拡大されました。シルバーパスは多くの市民の反対の声を押し切って改悪されましたが、「シルバーパス守る会」のみなさんの運動はいま、「改悪を元にもどせ」の声となって高齢者の中に支持と共感を広げており、こうした活動を通じて市民の市政に対する関心はかってなく高まってきています。

破綻した市政をどう立て直すのか
  これまでの国の悪政の下で格差と貧困が拡大し、雇用破壊が広がっている中で、7月に予定されている市長・市会議員の選挙は、奈良市が地方自治体として市民の暮らしをどう守るのかが問われることになります。
 私たち議員団は3月議会でも主張したように、財政がたいへんな中でも福祉や暮らし教育に思い切って予算を振り向け、公共事業の支出を抑えることです。それがひいては市民に安心感を与え、学校の耐震補強や修繕の予算を増やすことは、地元の中小業者の仕事や雇用を増やすことにつながります。  

暮らしを守るという点では、

●ごみ有料化、下水道料金の値上げに反対します。

●国保料は奈良市で一般会計からの繰り入れを増やして1世帯1万円、国で1人1万円の引き下げで、4人世帯で5万円の引き下げを求めます。

●高齢者の福祉の制度、シルバーパス(老春手帳の制度)は改悪前にもどさせます。

●大型店の出店規制や住宅リフォーム制度をつくるなど、中小業者の仕事を確保し、農林業支援に力を入れて地域経済の活性化を促す市政を求めます

●学校の耐震補強や改修の予算を増額し、地元業者の仕事を増やします。

●就学援助金支給の認定基準引き上げを求めます。

●介護サービスの取り上げを中止させ、保険料・利用料の引き下げを求めます。

●子育てを支援するために、子供の医療費は中学校卒業まで無料を要求し、窓口払いを廃止させます。

●バンビーホームの建て替えと詰め込みを解消を急ぎ、保育士の増員で保育所の待機児童解消を求めます。

街づくりについては、

 何よりも奈良の歴史的景観と文化遺産、広大な自然を一体として守り生かしていくことが重要です。とくにJR奈良駅付近の建築物の高さは極力抑えることなどの提案も各方面から出されており、こうした提案をふまえてそこに住んでいる住民の願いを大切にして、高齢化による医療や介護などの支援の強化、居住環境の充実、防災対策など安心して住める街づくりを住民参加ですすめることが重要です。

● 京奈和大和北道路については、世界遺産を守り巨額のムダを生む高速道路の抜本的見直しの中で、国に中止を強く求めます。また、奈良インターからのアクセス道路となる、都市計画道路・西九条佐保線については「町を分断する」との批判がおきており、付近住民への情報公開と参加、景観への配慮、町を分断しないための可能な限りの区間短縮が必要です。
 平城宮跡の国営公園化については、世界遺産や地域住民の居住権を守る立場で、国や県に慎重な対応を求めることが必要です。同時に奈良県が進めようとしている西大寺駅の地下化については、反対の立場で意見を上げていくことが必要です。

● 三条通りの拡幅については、地元商店会によって1996年に「三条通りまちづくり協議会」が発足し、幅員16m、1車線1方向で事業が実施段階に入っています。藤原市長は地権者の反対意見を無視して強行していますが、拡幅先にありきで商店街の将来像で地元の合意がされていないこともあり、地権者の中から「拡幅で奈良らしさがなくなる」「商店街がさびれる」といった反対の声があがっていますが、この事業についてはいったん凍結し、事業の実施段階にあっても広く意見を聞き、住民合意を図ることが必要です。

● 中心市街地の活性化は、大型店の出店に可能な限りの規制をかけ、観光面ではイベント中心でなく墨や筆、焼き物などの伝統産業を生かして、奈良でこそ体験できる「体験型の観光」にも力を入れることが必要です。

● また奈良市は景観計画や景観条例の改訂作業をすすめていますが、必要なことは党派を超えた幅ひろい人に呼びかけ、他の都市にはない遠望景観を生かした真の意味での「奈良らしさ」を探求し、そうした中で観光をはじめとする地域経済の活性化をすすめることが必要です。

7人の強力な議員団実現で、市政の転換を

 働く人たちの雇用を守り、後期高齢者医療制度の廃止や障害者自立支援法の応益負担を元にもどすこと、消費税増
税反対など暮らしを守ることに全力をあげます。 いま、「シルバーパスの改悪元にもどせ」と街頭署名に立つと、お年
寄りから「お願いします」と声がかかり、列ができます。「政治を変えて」この思いは広範な市民の間に広がっています。
 今回の選挙で何としてでも私たち7人を引き続き議会に送って下さい。
 暮らし・教育守って頑張る7人、市民の良識を代表する7人です。大きなご支援を心からお願いします。
 同時に7月の市会議員選挙は、定数7名削減の中での大変きびしい選挙になります。
 いま議会では「行革やれやれ」の大合唱の中で、常に筋を通して市民の立場で「暮らし優先の市政に」との主張を貫
いてきました。「共産党はどんなときでもぶれない」は他党や理事者も認めるところです。

 
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